映画&読書感想文

2014年05月15日

「勇気」の科学 〜一歩踏み出すための集中講義〜
ロバート・ビスワス=ディーナー
大和書房
2013-12-21



現代社会で成功するのに、最も必要なものの一つが勇気です。
進化心理学によると、僕たち人間の感情は狩猟採集時代に最適化されて設計されている。
恐怖や不安などの感情は、人間を危機的な状況から回避するために必須な感情だけど、死の危険がほとんどない現代社会では、そのような恐怖や不安の感情は過剰だ。
人間の脳は、現代社会の急激な変化に全くついていけておらず、恐怖や不安などの行動を抑制する感情は現代社会では最適とはいえない。


金融商品にコール・オプションというデリバティブ(金融派生商品)がある。
これはある金融商品を一定の金額で購入する権利(オプション)を得ることができる金融商品だ。
例えば、株価1,000円の株式があって、3ヶ月後に株価1,200円で購入できるコール・オプションを50円で買ったとする。
3ヶ月後に運良く、株価が2,000円になれば、あなたはコール・オプションの権利を行使して1,200円で株式を買い、それをすぐに市場で売却すれば800円を得ることできる。
オプションの価格の50円を差し引いて、あなたの利益は750円だ。
もし、逆に株価が暴落して、100円になったとしても、権利行使しなければいいだけなので、損失はオプション価格の50円にしかならない。
たったの50円を支払うだけで、ダウンサイドのリスクは50円だけで、アップサイドの利益は無限大だ。


さて、どうして勇気の話からいきなりコール・オプションの金融デリバティブの話になったかというと、現代社会における人生はコール・オプションだからだ。

今の日本で、普通の人は誰も飢えていない。
どんな状況になっても衣食住に困るようなことはよほどのことがない限り、ない。

つまりダウンサイドリスクは限定的ということだ。

だから、独立や起業、新規事業の立ち上げなどのリスクを取って失敗しても、おそらく衣食住に困ることはない。

だからオプション料を払って、リスクを取るべきなんだ。

そして、オプション料というのは、勇気のことだ。

勇敢ささえあれば、小さなリスクで大きなリターンを狙える。

だから、皆、好きなことをしたらいいんだよ。



人生はコール・オプションだ。

必要なのは、ほんのちょっとの勇気だけ。



参考
金融日記:人生はコールオプションだ。みんなやりたいことをやれ! http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/51677884.html 




    このエントリーをはてなブックマークに追加
investor46 at 09:36

2014年05月10日

やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~
ハイディ・グラント・ハルバーソン
大和書房
2013-09-20



最近、書評ばっかりですね。笑
移動中のスマホとかSNSとかの時間を削ると読書の時間になりまして、いかにムダな時間を浪費していたかと実感しております。

さて、ここのところ中々当たりの本を引いているので、紹介したいと思います。
「やってのける ~意志力を使わずに自分を動かす~」という本です。

最先端の心理学の知見を使った目標達成するための本なんですけど、ポジティブシンキングだとか、絶対に出来る小さなことを確実にこなすとか、これまで色々な本があるんですけど、この本はそういったものからさらに一歩進んだ感がありますね。

これまでの本はポジティブシンキングとか、小さなことをコツコツやれば必ず習慣化できるとか、これさえやれば万事オッケーみたいな論調で語られるんですけど、実際はそんな単純なものではなく、ケース・バイ・ケースでその時最適な目標達成の方法は違うんですよね。


さて、この本に書いてあるエッセンスを僕なりにまとめてみたいと思います。

まず、根本にあるのは、目標達成のために必要なのは「才能」や「能力」ではなく「努力」や「どのようにやるのか」によるところが圧倒的に重要だということ。
目標達成するには、才能や能力よりも努力や目標達成のためにどのようにアプローチするのかの方が遥かに重要だし、目標達成のために必要な能力も努力によって伸ばせるという風なマインドセットが極めて重要だ。
出されて手札を見て、こんなんじゃダメだと思うのではなく、この手札で最大限のパフォーマンスを出すことに集中すること、もしくは手札を強化する方法を考えるマインドセットが必要ということ。

そして、目標達成の肝となるのが、シンプルな計画を作るということ。

  1. まずは目標を”具体的に”決める
  2. 「なぜ」やるのかを決める
  3. 「何」をやるのかを決める
  4. 「いつ」やるのかを決める
  5. 「どこで」やるのかを決める
  6. 「どのように」やるのかを決める
例えば、ブログを毎日書くという目標を決めたとする。
なぜブログを毎日書くのかという理由は、インプットしたことをアウトプットすることによって、頭の整理になるから。
毎朝、オフィスに着いたら、ブログを5分書く。
みたいに。

こうした目標を達成するためには、たくさんの大きな障害がある。
例えば、今日は突然打ち合わせが入って忙しいから明日やろうとか。
他にもそのタスクをこなす時間に友だちから急な誘いがあったりすると、かなり強い自制心が必要になる。
これはすごくなるほどと思ったんだけど、自制心というのは筋肉と同じく消耗するらしく、誘惑に耐えられるときもあれば、夕方の疲れたときには抗えなくなるときがある。
そういった修正を理解して、例えば一番意志の強い朝の時間にやってしまうとか、誘惑を考慮して予め予防策を練っておくなどの対策が必要になる。

そして、こうした自制心は筋肉と同じく、鍛えれば鍛えるほど強くなるので、他の目標の達成にも役に立つそうだ。
ダラダラした生活を送っていれば送っているほど、自制心はどんどん弱くなり、いろいろなところに綻びが出る。
小さなことも気をつけてケアしておくことは自制心を鍛え、今後大きな目標を達成するためにとても重要なことらしい。


僕もかなり、ダラダラとした生活を送ってきていますけど、ストイックに改めたいものですね。



    このエントリーをはてなブックマークに追加
investor46 at 16:59



僕の最もお気に入りの作家、橘玲氏の最新作。
「永遠の旅行者」以来の久しぶりに本格的ハードボイルド小説です。

結論から言いますと、最近読んだ本の中でずば抜けて面白かったです。
やっぱり橘先生は裏切りませんね、流石です。痺れました。

物語の面白さはもちろんですけど、洞察力、分析力、調査力に、物語の構成力や巧みなオープンループによるミステリアスさ、そしてとても美しい文章力と洒落た表現力で、本当に素敵なんですよね。
橘作品は絶対いつか映画化されると思います。

オススメです。



    このエントリーをはてなブックマークに追加
investor46 at 15:36

2014年05月06日




橘玲先生の裁判入門の本。
ずば抜けた調査力と分かりやすい文章力と、構成力で面白く読ませてくれる。

これは当然僕も初めて知ったんですけど、民事訴訟って、簡易裁判と地方裁判で200万件ほどあって、地方裁判でも3割しか両方に弁護士がつかず、簡易裁判になると双方に弁護士がつくのは3%に満たないそうです。
60万円以下の少額訴訟ともなると90%が双方とも本人訴訟になるので、裁判員制度が注目されたけど、それより遥かに民事訴訟の当事者になる確率が高そうです。

橘玲先生は普通の人よりも遥かに法律に詳しいかと思うんですけど、法律の専門家でも、専門的な教育を受けたわけではないのに、なぜ法律の本を書くことになったかというと、まず第三者の民事訴訟の代理人として民事訴訟の経験を得られたことと、少額訴訟の場合、弁護士の先生からすれば着手金も出ないので、それを相手にしてくれる弁護士がほとんどいないことや、専門書もほとんどないという、少額民事訴訟のブラックホール気づいたからだそうです。

おそらく、人生においては、自分とは何の関係もない、裁判員制度の刑事事件よりも、自分と直接関係のある民事裁判に備えて、知識武装しておいて損はないかと思います。

法テラスとか、いろいろな法律相談所があるので、トラブルに巻き込まれたときにどういったところに相談に行くべきかとか、裁判の流れの全体像をざっくりと把握しておくには最適な本だと思います。


    このエントリーをはてなブックマークに追加
investor46 at 18:35

2014年05月04日

どん底から生まれた宅急便
都築 幹彦
日本経済新聞出版社
2013-04-23



うちのやってる事業の参考になるかもということで、昨日読んでみました。
3時間くらいでサクッと読めます。

ヤマト運輸は元々はトラックによる長距離貨物輸送の会社でした。
それが傾きかけ、個別配送の宅配便サービス「宅急便」に事業の大転換を図った物語です。
先日読んだイノベーションのジレンマに通ずるところが多く、すでに出来たシステムを変えるというのは並大抵のことではありません。
見事にイノベーションのジレンマを乗り越えた事例として、企業家の方や経営者の方は読んでみると面白いかもしれません。



    このエントリーをはてなブックマークに追加
investor46 at 11:44
スキャンマン株式会社代表取締役の杉本勝男と申します。 当サイトへお越し下さりありがとうございます。 コメント、トラックバック歓迎です。 なお、当サイトはリンクフリーです。 twitterもやっていますので、よろしければフォローお願いします。
メッセージ

名前
メール
本文
記事検索
  • ライブドアブログ