2010年02月17日
徹底抗戦
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IT時代の寵児ホリエモンこと堀江貴文が初めてライブドア事件の真相を語った本です。
被告本人が書いた本なので、もちろんホリエモン側にバイアスがあることを考慮しても、やはり検察が暴走した感は否めない。
ほとんどの人がライブドア事件のことについてよく知らないだろう。
というか、そもそもホリエモンが何で捕まったのか理解してない人がほとんどだと思う。
僕は当時から(今も)ライブドア株をささやかながら保有していたので、ライブドア事件には思うことがいろいろあるんだけど、そもそも、この事件の本質は株式売却益を損益計算書に載せるべきものを貸借対照表に載せたというだけのお話なのだ。
しかも、その株式売却益をP/Lに載せるかB/Sに載せるかは専門家の間でも意見が分かれるような微妙な問題である。
にもかかわらずカネボウのような悪質さでも金額でも大きな粉飾決算をした企業は誰もお咎めなしでは違和感がある。
大体、普通は生きてる会社に強制捜査は入らない。
なぜなら、生きてる会社に強制捜査が入ると一気に社会的信用を失って事業が継続できなくなる恐れが強いためだ。
事実、ライブドア株が暴落しただけでなく、東証の売買システムが落ちるほどの社会的な混乱が起きた。
そこまでして、何で検察はライブドアを捜査したかったんだろう?
謎だ・・・。
で、本書の内容だけど、正直読んでてちょっとかわいそうになってきた。
拘置所の生活がどんなものかというのがまざまざと書いてあって、風呂場でオナニーした話から、ライブドア社員から色紙をもらって嗚咽するほど泣いた話までかなり赤裸々に描かれていた。
いつ出られるか分からない拘置所生活よりも2年なら2年とかでいつ出られるか分かってする刑務所生活とでは後者の方が圧倒的にマシらしい。
人間はストレスをかけられてもいつ終わるか分かる状態と分からない状態では、分かっている状態の方が感じるストレスの大きさが小さい。
そういう心理を熟知している検察はなかなか自白しない容疑者に拘留を延長していつ出られるか分からないようにすることによって、精神的に追いつめる。
それにしても、この本で初めて知ったんだけど、ホリエモンはフジテレビとのニッポン放送買収合戦で得た資金でこの後はソニーを買収するつもりだったらしい。
ソニーの持っている携帯音楽プレーヤーの技術や音楽コンテンツやブランドを使って、今のiPhoneのようなものを作り上げるつもりだったようだ。
今となっては後付けのアイデアかもしれないけど、やっぱりホリエモンのセンスとか先見の明はすげーや。
ほんと、社会にとってはとんでもない損失を生んでくれたもんだよなー。